ライブ・ストリーミング配信でのミキシングについて

ライブハウスからのライブ・ストリーミング配信に向けた

サウンドメイキングについて

 

2019年末のリリースから一年が経ちましたマイクラインケーブル「TPS 7222」ですが、大型フェスなどのイベンター様のみならず、ライブハウスや放送局、地域に根ざした音響サービス業者の皆様まで幅広く導入して頂いております。
改めてお礼申し上げます。

コロナ禍により、エンターテイメント業界はまだまだ厳しい状況にありますが、TPS7182 / 7222をはじめとする私たちのケーブルが少しでも皆様のお役に立てましたら嬉しく思います。

私達は、このような状況にも関わらずお声掛け下さいました方々の現場にプロモーションとして実際に赴き、その際に様々な現場のお悩みなどを伺わせていただいております。
そして実際にお話を伺うと、非常に多くの方が「ライブ・ストリーミング配信のサウンドメイク(ミックス)」についてお悩みになっていらっしゃいました。

そこで今回はライブハウスからのライブ・ストリーミング配信に向けたサウンドメイキングについてお話し致します。
少しでもお役に立てましたら幸いです。

【PAミックスと配信ミックスは、基本的に全く違う】

皆様ご存知のように、大規模なコンサート配信の場合は、会場PAと中継用のエンジニアリングがそれぞれ場所、機材、スタッフなど、全て別チームで稼働しております
しかしおおよそのキャパが500未満のライブハウスにおいて配信ライブやストリーミング配信を行う際、現場PAと配信エンジニアを別にキャスティングするのは、予算などを含め、難しい場合が多く見られます。ライブハウスの外音PAと配信の2ミックスという、全く別のミックスを一人のエンジニアが同時に作業するのは、非常に難易度の高い作業であることは明白です。通常のPAミックスと配信ミックスの相違点と共通点を客観的に理解し、オペに反映させることが重要だと思います。

【25分ほどの配信用プログラムを、一度じっくりと編集してみる】

「配信ミックスの問題は、PA卓の2アウトと会場に設置したオーディエンスマイクをミックスしただけでは解決しない場合が多い」とのお悩みを、想像以上に多くのエンジニア様から伺います。そのことからも、やはりある程度しっかりとした配信用ミックスを事前に作る必要があると考えます。リアルタイムの配信中に、じっくりとミックスに向き合うことが難しいという事は、皆様ご承知だと思います。そこで一度、25分程度のコンテンツを作成し、各配信プラットフォームなどを利用し音を聴くことで、ライブオペとライブ配信・ストリーミング配信の違いを客観的に把握されることをお勧めします。

【会場の外音ミックスをそのままライブ配信した際の問題点】

会場での外音はライブハウスのハコ鳴りがベースにあるため、そのままミックスして配信するとかえって会場の空気感を伝えられない場合が多く発生します。
この事象をも踏まえて皆様がお困りの点を伺うと、以下のポイントに集約されます。

・低域の量感がコントロールしづらく、自分の頭の中のイメージとギャップが発生してしまう。
・いつものようにマスターリバーブを思い切って掛けられない。
・マスターだけでなく、チャンネル毎のコンプがハードになってしまう。
・パートごとの解像度、全体の音像が想像以上にボケてしまう。
・YouTube、ニコ生、vimeo、ツイキャス、LINEライブなど、プラットフォーム別の傾向を掴みきれない。

以上の問題を解決するために、一度じっくりと配信用のミックスダウンに取り組み、PA外音との処理の違いを認識することで、今後のクオリティアップへのデータと経験を増やすことができます。

それでは以下、ポイントごとに解説致します。

【配信ライブにおける低音域処理のポイント】

「メーターは適正値なのに、圧が足りない」と感じ、コンプレッサーに頼ってしまうケースが多く見られます。
通常のライブでは50Hz以下も会場の箱鳴りで大きく感じてしまうため、どうしても薄め且つタイト気味に作ってしまいがちです。
配信の場合は50Hz近辺にピークを持たせ、32Hz以下をカット気味にイコライジングすることで、解像度を保ちつつ、密度のある低域を確保することができます。

【気持ち多めのリバーブで、会場の空気感を演出】

PA外音の場合、会場のハコ鳴り前提での音作りになるので、どうしてもリバーブを掛けることを躊躇してしまいがちです。会場の空気感を加えるためにオーディエンスマイクを立てるケースも多く見受けられますが、立てるポイントによっては位相干渉を引き起こし、低域などが削られてしまう事もあります。ミックスする際には800Hzより下をシェルビングして、中高域だけのミックスをお試しください。
空間系エフェクトを使用して、配信ミックスに会場の空気感を演出するためには、まずはマスターリバーブを気持ち多めに掛けてみましょう。またウエット信号の500Hz以下をシェルビングすることで、エフェクトによる低域のボケを防ぐことができます。
またマスターチャンネルへのリバーブ以外に、各チャンネルからのセンドによるリバーブも追加してみてください。各パートの配置や、ソロパートの演出にもリバーブを積極的に使用した方が、リスナーには喜ばれることが多く見受けられています。

【パンニングはLR全開まで使い切って、各パートを配置】

空間系のエフェクトとともに、PANの設定にも気をつけてみてください。
センターに定位するのはメインボーカルのみで、その他のパートは横に広げてみてください。各パート同士で出来るだけPANの値が被らないように配置し、LRともに100まで使い切って配置する事で、音像のダマ感を回避することができます。

【高域のシェルビングも忘れずに】

音源製作などのレコーディングや高音質なBSテレビ番組と異なり、ネット配信の場合は基本的に15Khz以上の帯域はそんなに必要ではありません。リバーブをかける前のドライ音にはハイカットを、リバーブのウェット信号はローカットをする事で、音圧感を維持しながらラウドネス値を稼ぎつつ、コントラストのはっきりしたサウンドを得ることが可能になります。

【語りなどのMCパートは、聞き取りやすさを重視した編集を】

音楽ライブの配信では、どうしても演奏の箇所に意識が集中しがちで、MCが引っ込んでしまいがちです。
配信をご覧になっているオーディエンスに音量差によるストレスを与えないのもクオリティを上げる重要なポイントです。
コンプレッサーやディエッサーでの処理は大胆に、また静寂感を出すためにしっかりとしたローカットを、そして会場のリアリティを演出するリバーブをPA外音とは全く違う処理で行うことも、コンテンツ全体を構成する上では重要になります。

【完成した配信ライブ用ミックスとPAミックスの違いをノウハウに】

ライブ配信・ストリーミング配信用のコンテンツを丁寧にミックスすることで、ライブPAとの相違点と共通点を改めて確認できます。
冒頭でも述べましたが、予算やキャスティングなどに制約の多いライブハウスでは、配信もPAも一人でオペレーションしなければならないことがほとんどだと思います。

ライブ・ストリーミング配信用のコンテンツを作成して得た配信用のEQなどのノウハウを元にすることで、ライブ配信の際にはシンプルなフェーダー操作とリバーブコントロールだけでのオペも可能となり、ダブルオペでも気持ちの余裕が生まれると思います。
もちろんサウンドも今まで以上に高いクオリティで配信することが可能になりますので、是非お試しください。

 

【アーカイブ配信ではYoutubeのラウドネス規制も視野に入れた編集を】

Youtubeでのアーカイブ配信は、ラウドネスの規制が入ります。
しっかりした音圧感を維持するために、VUメーターでのチェックと同時に、ラウドネスメーターで-12から-14LKFSを目処に作業を行うのが良いと思います。
ラウドネス値を稼ぐためには、ゲート処理は重要になってきます。
またハイパス、ローパスを含め、不要な帯域は積極的にパラEQでゲインを下げてください。

また迫力を出そうとマキシマイザーで処理すると、空気感が損なわれることも多く見受けられます。
ライブの配信では、音だけではなく「絵」の力が大きなウェイトを占めます。
アーティストの絵力によって、迫ってくる感じはオーディエンスに圧を感じさせます。その為、サウンドは比較的クリーン気味にまとめる方が好印象になることが多いです。

ライブ・ストリーミング配信は全く別の新しいライブコンテンツである

以上、ライブ・ストリーミング配信に関する幾つかのヒントを解説いたしましたが、いかがでしたでしょうか?
コロナ禍によって急遽始まったライブ配信・ストリーミング配信ですが、現状はライブの代替としての役割が大きいと思います。
しかしこれからは全く別の新しいライブコンテンツとして、取り組む必要があると思います。
配信からの収益を確保するために、コンテンツのクオリティ向上は今後さらに重要になってくるでしょう。
高い分離感としっかりとした音圧のコンテンツは、オーディエンスからの高評価だけでなく、出演アーティストの新規獲得にも繋がります。

ストリーミングなどのライブ配信が新たなビジネスフォーマットとして定着するためにはオーディエンスの満足度を上げることが必須となります。
コロナ以前とは違った制約が多い中で、私たちのケーブルは、サウンドのクオリティアップが図れるお力になれると信じております。

高品質な自社製導体を使用し、徹底したヒットノイズ・スクラッチノイズ対策を施すことで、圧倒的な低音域の処理を実現したTPS 7222は配信ライブでの使用においても高いレベルのパフォーマンスを発揮します。
ぜひこちらの、他社製品と比較したベースサウンドのサンプル動画を、低域のアナライザーの動きにも注目しながらご覧ください。

TPS7182 / 7222と他ケーブルの比較動画

 

 


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